岩合光昭写真展 ねこといぬ ともだち

岩合光昭といえば、身近なねこやいぬを写した写真で高い人気を誇っていますが、それぞれをテーマとした写真展ではなく、ねこといぬをいっしょに写したユニークな写真展がノエビア銀座ギャラリーで開催されています。
<会期:2018年1月9日(火)~3月9日(金)>

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ねこといぬは、昔から常に人の暮らしとともに生きてきました。自由気ままといわれるねこと、従順といわれるいぬ。種が違うからといって、敵対する必要もありません。気が合えば仲良くなります。そんな仲良しの姿を見て、「人と共存する仲間たちの大らかさを楽しんで欲しいと思った」と岩合さん。

たとえば、広島でみつけたねこは、幼い頃に母を亡くし、いぬが母親がわりとなっています。クロアチアのねこは木に登って遊び、いぬはうらやましそうに見ています。ハワイのねこといぬは、サーフボードごしにみつめあって。

どちらかといえば、いぬの熱烈なアプローチをねこがクールに受け止めている印象。仲良しだからといってべたべたするわけではなく、お互いを認め合いながら、それぞれの距離感でつきあっている、ねこといぬの「ともだち」。

眠るときは兄弟のようにくっついていて、その様子はペルーも京都も一緒です。日本だけでなく、世界中でみつけた、ねこといぬ。そのユーモラスな距離感を楽しめる写真展です。

展覧会のホームページはこちらから
ノエビア銀座ギャラリー

テーマ:美術館・博物館 展示めぐり。 - ジャンル:学問・文化・芸術

生誕100年 ユージン・スミス写真展

両脇に木々の生い茂る1本の道。木々の洞窟を抜けたかのように、光に向かって歩く男の子と女の子。光に包まれた2人の後ろ姿が印象的な「楽園への歩み」(1946)は、ドキュメンタリー写真家、ユージン・スミス(1918~1978)の作品です。TV番組「なんでも鑑定団」で紹介された本作品のプリントが、数百万円と鑑定されたのをご覧になった方もいらっしゃるかもしれません。

写真はプリントによっても価値が異なるとのことですが、スミスが生前にネガを寄託した、アリゾナ大学クリエイティブ写真センターが所蔵する貴重なヴィンテージ・プリント150点を、東京都写真美術館で見ることができます。
<会期:2017年11月25日(土)~2018年1月28日(日)>

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ユージン・スミスは17歳で写真の道を志し、戦争の悲惨な現実をカメラで伝えようと、太平洋戦争に従軍。沖縄戦である兵士を追っていましたが、目の前で砲弾が炸裂し大怪我を負います。戦地から送った写真が大きく評価され、活躍が期待されていた矢先でした。

自宅で療養しながらも、カメラマンとしての将来を絶望していたスミス。ベッドから庭で遊ぶ自身の子どもたちを見守っているうち、ふたたび写真に挑戦したいと思うようになったとか。暖かい日差しを浴びながら、自分の前を歩くふたりの子ども。暗闇を抜け、ふたりが光に包まれた瞬間、シャッターを切ったのが「楽園への歩み」でした。それは、スミスが立ち直る第1歩でもあったのです。

沖縄戦での古傷の痛みや、それを和らげるための薬やアルコールで、ボロボロだっというスミスは、1971年に来日。74年まで3年にわたり水俣を取材します。水俣病患者やその支援者とチッソ側との衝突に巻き込まれ、自らも暴行を受けながら撮影した作品が「水俣」。

グラフ誌「ライフ」に発表したフォト・エッセイの中からも展示されており、コロラド州のセリアーニ医師の日常を写した「カントリー・ドクター」(1948)、サウスカロライナ州で働く「助産師モード」(1951)も、襟を正して鑑賞したい作品です。

「写真はせいぜい小さな声にすぎないが、ときたま、1枚の写真がわれわれの意識を呼び覚ますことができる。(ユージン・スミス)」

展覧会のホームページはこちらから
東京都写真美術館

テーマ:美術館・博物館 展示めぐり。 - ジャンル:学問・文化・芸術

今森光彦 写真&ペーパーカット展 楽園の昆虫たち

壁面に飾られた写真には、昆虫が遊ぶ、色鮮やかな自然の景色。その前には、細密に作られた切り紙の昆虫が展示されています。はさみ1本で切り出されたという切り紙の昆虫は、色、かたち、模様が細部まで表現され、透明な翅はクリアファイルで作られたそう。白を基調としたノエビア銀座ギャラリーには、展覧会タイトルのとおり、楽園の昆虫たちが息づいていました。
<会期:2017年6月12日(月)~9月1日(金)>

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里山をテーマとした作品で知られる今森光彦は、写真家とペーパーカット作家というふたつの顔を持っています。写真家としての今森は、琵琶湖を望む田園にアトリエを構え、琵琶湖周辺の里山を30年以上撮り続けながら、アトリエの周りに木を植え、雑木林や庭を作りました。「オーレリアン(蝶を愛する人)の庭」と名付けられた庭は、生き物とともに暮らすために作られた、今森だけの里山。雑木林の落ち葉の陰で冬を越した昆虫が、新緑の季節の訪れとともに活動をはじめます。今森は、春に蝶が集まる花が咲くように、低木は冬の間に剪定し、昆虫たちが冬を越しやすいように、隠れ家となる落ち葉を地面に残すなど、昆虫が暮らしやすい工夫をこらしているのです。

「昆虫は、私にとって被写体である以前に、常に敬意を払うべき生命」という今森は、日本だけでなく、熱帯雨林や砂漠まで世界各地で昆虫を撮影し、昆虫の生命の輝きを伝えています。そして、昆虫は、切り紙作品のモチーフでもあり、自然の中で「美しい」と感じたその感動を「紙」と「はさみ」で表現しています。細部まで表現された切り紙の昆虫は、今にも動き出しそうです。

ノエビア銀座ギャラリーには、美しい自然環境の中で生命を育む昆虫の「写真」と「切り紙作品」が合わせて展示されています。今森の琵琶湖の田園近くで過ごした幼少期や、写真家として世界各国を訪れ、多くの“本物”を見てきた経験がいかされた作品のかずかず。身近な生命である昆虫を通して、地球という星の豊かさを伝える今森のメッセージが感じられます。

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ノエビア銀座ギャラリー

テーマ:美術館・博物館 展示めぐり。 - ジャンル:学問・文化・芸術

シンプルの正体 ディック・ブルーナのデザイン展

誰もが知っている「ミッフィー(うさこちゃん)」シリーズを手がけた絵本作家、ディック・ブルーナ(1927~2017)。オランダ・ユトレヒト生まれのブルーナは、グラフィックデザイナーとしても活躍していました。シンプルでありながら、あたたかく、ユーモアのある作品のかずかずを、松屋銀座で見ることができます。
<会期:2017年4月19日(水)~5月8日(月)>

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ブルーナの家は代々、出版社を経営しており、ブルーナは1951年、父親の会社でデザイナーとして働きはじめます。初期のブルーナの仕事で忘れてはならないのは、ブルーナ社が1955年から発売した「ブラック・ベア」シリーズと呼ばれるペーパーバックの表紙デザイン。推理小説を中心としたこのペーパーバックの表紙デザインを、約20年間で2000冊以上も手がけています。

「ブラック・ベア」シリーズを宣伝するため、駅や書店に貼られたポスターも、ブルーナの手によるもの。1956年から1971年まで制作されたポスターには、愛らしい読書好きの熊がキャラクターとして登場します。目が赤いのは読書をしすぎたから、というのもかわいいですね。

雨の日も雪の日も、どんな天気でもブラック・ベアを読む熊。気持ちよく寝ころんで読む熊。窓越しに見える、読書する熊。人を振り向かせるアテンションがありながら、親しみやすく人間味にあふれるポスターは、今見てもとても魅力的です。

2017年4月、「クマくんが死んだ」というブルーナの未発表絵本が出版されました。ブラック・ベアのポスターに登場する熊の絵を使用し、読書が好きだったクマの死を悼むという内容です。2011年に制作されたものの、死後に出版されるのがふさわしいと見送られたといいます。2017年2月のブルーナの死後に出版されることになった、この悲しみの絵本は、関係者だけに贈られ市販の予定はないとのことです。

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松屋銀座

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花森安治の仕事 デザインする手、編集長の眼

花森安治(1911~1978)が1948年に創刊した雑誌「暮しの手帖」は、公正な記事を掲載するため、一切広告を入れずに発行されたといいます。終戦まもない時代に、工夫とアイディアによる豊かな暮しを提案。リンゴ箱から作った子ども机や、着物の仕立て方「直線裁ち」で作ったワンピースなど、工夫次第で驚くほどモダンに仕上がること、そして、それを大切に使えばよいことを教えてくれました。

電化製品が普及すると、トースターやアイロン、洗濯機などの徹底的な商品テストを敢行。トースターのテストのために、食パンを43088枚焼いたというエピソードがあるほどです。戦争を体感した花森にとって、日々の暮しを美しくすこやかに営むことは何よりも大切であり、そのための情報であれば、全身全霊をかけて伝えていたのでしょう。

「暮しの手帖」の表紙画から、カット、レイアウト、取材、執筆、広告まですべてを手がけた花森の30年の仕事を振り返る展覧会が、世田谷美術館で開催されています。
<会期:2017年2月11日(土)~4月9日(日)>

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雑誌の顔ともいえる表紙原画も多数展示されています。ヨーロッパを連想させるような家具や調度品を描いた初期の表紙画。簡素化された線と明るい色彩で、身の回りの物をグラフィカルに配置した表紙画。暮しを創造する主役である女性を描いた表紙画。「暮しの手帖」のロゴが配置されると、どれもキリリと引き締まり、味わい深い独特の情感が感じられます。

1937年召集された花森は、満州に渡るも結核にて帰国。1941年、大政翼賛会の宣伝部で国策宣伝に従事します。似つかわしくないように思われますが、「もう二度と、こんな恐ろしい戦争をしない世の中にするためのものを作りたい。」と語るきっかけになったのかもしれません。戦争をしない世の中にするために必要なものは、ひとりひとりが自分の暮しを大切にすることだったのですね。

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暮しの手帖展を設営する花森安治(1950)

展覧会のホームページはこちらから
世田谷美術館

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心が豊かになるアートを見つけに飛び立つ青い鳥です。

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