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ヌード 英国テート・コレクションより

ヌードが巷に溢れている現代と異なり、19世紀においては、神話や聖書のエピソードとして、歴史画や宗教画の中でしか描かれることはありませんでした。裸体を描くことが憚られる時代だったのです。英国テートのコレクションから、芸術家が挑み続けてきた「ヌード」をテーマに、19世紀ヴィクトリア朝から200年の軌跡をたどる展覧会が、横浜美術館で開催されています。
<会期:2018年3月24日(土)~6月24日(日)>

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最初に飾られているのは、フレデリック・ロード・レイトン(1830~1896)「プシュケの水浴」(1890)。縦長の画面には、恋人が来る前に水浴をしようと、身にまとった白い布からほっそりとした肢体を見せるプシュケの姿が。そのなめらかな美しさに、思わず目を奪われます。

足を進めると大型の画面には、海に落下して命を落としたイカロス。身体より大きい羽根をまとって横たわるイカロスを囲むのは、3人のニンフたち。ハーバート・ドレイパー(1863~1920)「イカロス哀悼」(1898)に描かれるニンフたちの今にも動き出しそうな肢体と、悲しみの表情が秀逸です。

同時代の女性が日常的な空間で親密に描かれるようになったのは、次の時代。ドガ(1834~1917)やボナール(1867~1947)、ルノワール(1841~1919)などが、入浴中や室内での裸体を描いています。しかしながら、ロダン(1840~1917)の最高傑作のひとつとされる大理石彫刻「接吻」(1901-1904)も、イギリスの市庁舎に展示された際には、エロティックすぎると布をかぶせられたとか。

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以降、第2次世界大戦を経て「ヌード」は、当時タブーであった同性愛を描くデイヴィッド・ホックニー(1937~)や、パイプを片手に挑戦的な視線を向ける黒人男性の裸体を描いたアフリカ系アメリカ人、バークレー・L・ヘンドリックス(1945~2017)など、社会への問題提起を感じさせる表現にまで進化。今後、どのように変化していくのか、想像するのも楽しい展覧会です。

展覧会のホームページはこちらから
横浜美術館

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テーマ:美術館・博物館 展示めぐり。 - ジャンル:学問・文化・芸術

サヴィニャック パリにかけたポスターの魔法

レイモン・サヴィニャック(1907~2002)は、フランスを代表するポスター作家。ユーモアにあふれた明快で簡潔な表現は、パリの街の人々に愛され、広告として強いメッセージを届けました。今は、ポスターというと写真を使用したものがほとんどですが、イラストによるポスターが全盛であった時代、パリの街に掲げられたサヴィニャックのポスターの数々を、練馬区立美術館で見ることができます。
<会期:2018年2月22日(木)~4月15日(日)>

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「私は41歳のとき、モンサヴォン石鹸の牝牛のおっぱいから生まれた」と自ら語るように、サヴィニャックの出世作となったのが「牛乳石鹸モンサヴォン」(1948/50)。ピンクの牝牛の乳と牛乳石鹸が一体化しています。自然由来の成分を生かした製品であることや、使用することで幸福度が上がる製品であることが表現されているそう。青を背景としたインパクトのある色彩と、前を向いた牝牛のチャーミングさが、街を行く人々の心をとらえたに違いありません。

サヴィニャックのポスターには、動物が登場するものがたくさんあります。「マギー・ポトフ・ブイヨン」(1959)には、自分の肉でとられたスープの匂いをおいしそうに嗅ぐ牛。「エール・フランス航空」(1956)には、首に万国旗があしらわれたキリン。人間の足を持ったシマウマがほろ酔いとなった「チンザノ」(1951)。そして、ベッドのマットレスのスプリングの上に羊を配した「トレカ」(1952)は、ウールのマットレスの広告で、見上げるほどの大型ポスター。

もうひとつ印象的であったのは、イメージの一体化です。毛糸の広告ポスター「ひとりでに編めるウット毛糸」(1949/51)には、真っ赤な毛糸で自分自身を編んでいる、真っ赤な女性。スライスしたパンで型どられた人物がパンを食べる「パン・ジャケ」(1969)。パスタで描かれた人物がパスタの皿を掲げる「アネージ・パスタ」(1965)も。

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人物が登場するポスターも、一筋縄ではいきません。クレーンに上着をひっかけられ、宙に浮いた作業員が描かれたポスター「レジステックス」(1952)は、作業着の丈夫さを表現。頭の中をたくさんの車が通過するような頭痛に悩む、しかめっつらの人物には、早く鎮痛剤「アスプロ」(1963)を。

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会場にはポスターだけでなく、その原画や、実際にポスターが貼られていたパリの街並みや地下鉄構内を写した写真も展示。美術館の中で、サヴィニャックのポスターの魔法にかかってみては。

展覧会のホームページはこちらから
練馬区立美術館

テーマ:美術館・博物館 展示めぐり。 - ジャンル:学問・文化・芸術

岩合光昭写真展 ねこといぬ ともだち

岩合光昭といえば、身近なねこやいぬを写した写真で高い人気を誇っていますが、それぞれをテーマとした写真展ではなく、ねこといぬをいっしょに写したユニークな写真展がノエビア銀座ギャラリーで開催されています。
<会期:2018年1月9日(火)~3月9日(金)>

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ねこといぬは、昔から常に人の暮らしとともに生きてきました。自由気ままといわれるねこと、従順といわれるいぬ。種が違うからといって、敵対する必要もありません。気が合えば仲良くなります。そんな仲良しの姿を見て、「人と共存する仲間たちの大らかさを楽しんで欲しいと思った」と岩合さん。

たとえば、広島でみつけたねこは、幼い頃に母を亡くし、いぬが母親がわりとなっています。クロアチアのねこは木に登って遊び、いぬはうらやましそうに見ています。ハワイのねこといぬは、サーフボードごしにみつめあって。

どちらかといえば、いぬの熱烈なアプローチをねこがクールに受け止めている印象。仲良しだからといってべたべたするわけではなく、お互いを認め合いながら、それぞれの距離感でつきあっている、ねこといぬの「ともだち」。

眠るときは兄弟のようにくっついていて、その様子はペルーも京都も一緒です。日本だけでなく、世界中でみつけた、ねこといぬ。そのユーモラスな距離感を楽しめる写真展です。

展覧会のホームページはこちらから
ノエビア銀座ギャラリー

テーマ:美術館・博物館 展示めぐり。 - ジャンル:学問・文化・芸術

生誕100年 ユージン・スミス写真展

両脇に木々の生い茂る1本の道。木々の洞窟を抜けたかのように、光に向かって歩く男の子と女の子。光に包まれた2人の後ろ姿が印象的な「楽園への歩み」(1946)は、ドキュメンタリー写真家、ユージン・スミス(1918~1978)の作品です。TV番組「なんでも鑑定団」で紹介された本作品のプリントが、数百万円と鑑定されたのをご覧になった方もいらっしゃるかもしれません。

写真はプリントによっても価値が異なるとのことですが、スミスが生前にネガを寄託した、アリゾナ大学クリエイティブ写真センターが所蔵する貴重なヴィンテージ・プリント150点を、東京都写真美術館で見ることができます。
<会期:2017年11月25日(土)~2018年1月28日(日)>

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ユージン・スミスは17歳で写真の道を志し、戦争の悲惨な現実をカメラで伝えようと、太平洋戦争に従軍。沖縄戦である兵士を追っていましたが、目の前で砲弾が炸裂し大怪我を負います。戦地から送った写真が大きく評価され、活躍が期待されていた矢先でした。

自宅で療養しながらも、カメラマンとしての将来を絶望していたスミス。ベッドから庭で遊ぶ自身の子どもたちを見守っているうち、ふたたび写真に挑戦したいと思うようになったとか。暖かい日差しを浴びながら、自分の前を歩くふたりの子ども。暗闇を抜け、ふたりが光に包まれた瞬間、シャッターを切ったのが「楽園への歩み」でした。それは、スミスが立ち直る第1歩でもあったのです。

沖縄戦での古傷の痛みや、それを和らげるための薬やアルコールで、ボロボロだっというスミスは、1971年に来日。74年まで3年にわたり水俣を取材します。水俣病患者やその支援者とチッソ側との衝突に巻き込まれ、自らも暴行を受けながら撮影した作品が「水俣」。

グラフ誌「ライフ」に発表したフォト・エッセイの中からも展示されており、コロラド州のセリアーニ医師の日常を写した「カントリー・ドクター」(1948)、サウスカロライナ州で働く「助産師モード」(1951)も、襟を正して鑑賞したい作品です。

「写真はせいぜい小さな声にすぎないが、ときたま、1枚の写真がわれわれの意識を呼び覚ますことができる。(ユージン・スミス)」

展覧会のホームページはこちらから
東京都写真美術館

テーマ:美術館・博物館 展示めぐり。 - ジャンル:学問・文化・芸術

今森光彦 写真&ペーパーカット展 楽園の昆虫たち

壁面に飾られた写真には、昆虫が遊ぶ、色鮮やかな自然の景色。その前には、細密に作られた切り紙の昆虫が展示されています。はさみ1本で切り出されたという切り紙の昆虫は、色、かたち、模様が細部まで表現され、透明な翅はクリアファイルで作られたそう。白を基調としたノエビア銀座ギャラリーには、展覧会タイトルのとおり、楽園の昆虫たちが息づいていました。
<会期:2017年6月12日(月)~9月1日(金)>

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里山をテーマとした作品で知られる今森光彦は、写真家とペーパーカット作家というふたつの顔を持っています。写真家としての今森は、琵琶湖を望む田園にアトリエを構え、琵琶湖周辺の里山を30年以上撮り続けながら、アトリエの周りに木を植え、雑木林や庭を作りました。「オーレリアン(蝶を愛する人)の庭」と名付けられた庭は、生き物とともに暮らすために作られた、今森だけの里山。雑木林の落ち葉の陰で冬を越した昆虫が、新緑の季節の訪れとともに活動をはじめます。今森は、春に蝶が集まる花が咲くように、低木は冬の間に剪定し、昆虫たちが冬を越しやすいように、隠れ家となる落ち葉を地面に残すなど、昆虫が暮らしやすい工夫をこらしているのです。

「昆虫は、私にとって被写体である以前に、常に敬意を払うべき生命」という今森は、日本だけでなく、熱帯雨林や砂漠まで世界各地で昆虫を撮影し、昆虫の生命の輝きを伝えています。そして、昆虫は、切り紙作品のモチーフでもあり、自然の中で「美しい」と感じたその感動を「紙」と「はさみ」で表現しています。細部まで表現された切り紙の昆虫は、今にも動き出しそうです。

ノエビア銀座ギャラリーには、美しい自然環境の中で生命を育む昆虫の「写真」と「切り紙作品」が合わせて展示されています。今森の琵琶湖の田園近くで過ごした幼少期や、写真家として世界各国を訪れ、多くの“本物”を見てきた経験がいかされた作品のかずかず。身近な生命である昆虫を通して、地球という星の豊かさを伝える今森のメッセージが感じられます。

展覧会のホームページはこちらから
ノエビア銀座ギャラリー

テーマ:美術館・博物館 展示めぐり。 - ジャンル:学問・文化・芸術

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心が豊かになるアートを見つけに飛び立つ青い鳥です。

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