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シャヴァンヌ展 水辺のアルカディア

国立西洋美術館で開催されている「モネ―風景をみる眼」(~2014年3月9日)の展示作品として、ピュヴィス・ド・シャヴァンヌ「貧しき漁夫」(1887~1892頃)を見てから、その寂寞とした世界観がずっと気になっていました。単一感のある色調と舟の中で祈るように立つ漁夫の姿が寂しさと敬虔さを体現し、印象派の画家たちと同時代でありながら、まったく異質な雰囲気をたたえていたからです。

その色調と精神性が特長的なシャヴァンヌ(1824~1898)の展覧会が、Bunkamura The Museumで始まりました。ピカルディ美術館、リヨン美術館、パリ市庁舎、ソルボンヌ大学など19世紀フランスの主要な建造物の壁画を次々と手がけ、ゴーガン、ゴッホやピカソらにも大きな影響を与えた画家であったことを知ることができます。
<会期:2014年1月2日~3月9日>

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シャヴァンヌは、22歳のときイタリアに旅行し、画家になると決意。24歳で再訪した際、初期ルネサンスの壁画に感銘を受け、壁画家を志しました。壁画といっても、壁面に直接描くのではなく、油彩のカンヴァスを壁面に設置していましたが、一度設置すると動かすことができないため、壁画の縮小作品を制作し、展覧会に出品していました。

本展でも、壁画の展示は、邸宅が取り壊された際に取り外された「幻想」(1866)のみ。ニンフとペガサス、リースをつくる子供といった題材に加え、全体に青みがかった色調が、なんとも幻想的な作品です。20年後に制作された縮小作品(1886-87頃)とともに見ることができますが、縮小作品の方は、近くで見ることを意識したのか、実物に近い色彩で力強く描かれています。

他の壁画は、習作や縮小作品での展示ですが、実にたくさんの人物がさまざまなポーズで描かれています。丸太を切る男、赤子を抱く女、火をおこす者、槍投げの練習をする男、老人の言葉をきく若者・・。シャヴァンヌの「作品は一種の混沌とした感情から生まれます。私は何度も何度も思考をめぐらせ、その思考を正確に翻訳するひとつの光景をさがすのです」という言葉のとおり、労働や平和、慈愛や愛国などの理念や感情を翻訳するために、どのような人物をどのようなポーズで配置し、どのような意味を持たせるのかを、綿密に構想していたのではないでしょうか。

img 547

折しも、1870-71年の普仏戦争や、それに続くパリ・コミューンにより壊滅的な打撃を受けたパリには、その傷を癒し、牧歌的な理想郷を思い起こす必要がありました。シャヴァンヌの描いたアルカディア(理想郷)のひとつ「諸芸術とミューズたちの集う聖なる森」(1884~89頃/ポスターに使用)にも、穏やかで安らぎに満ちた水辺の光景が描かれています。それぞれにポーズをとる建築・彫刻・絵画の化身と、9人のミューズたち。自らの精神世界を翻訳した画面構成と、ベールをかけたような淡いトーンのおさえた色調が、静謐でおごそかな雰囲気を醸し出しています。

新年を、シャヴァンヌのアルカディアから始めてみてはいかがでしょうか。

展覧会のホームページはこちらから
Bunkamura The Museum

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テーマ:美術館・博物館 展示めぐり。 - ジャンル:学問・文化・芸術

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