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冷たい炎の画家 ヴァロットン展

スイスに生まれ、16歳でフランスに移住。パリで活躍した画家、ヴァロットン(1865~1925)。来週、青山ブックスクールでヴァロットンのトークイベントが行われますが、「妄想-大人のたしなみとしての“変態”」と題されています。こっそり室内を覗き見たような視点、見てはいけないものを見たような不安感、胸騒ぎのする不穏な空気、どこか謎めいたクールな作風は、“大人”を魅了してやみません。約60点の油彩と約60点の版画で構成された日本初の回顧展が、三菱一号館美術館で開催されています。
<会期:2014年6月14日(土)~9月23日(火)>

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最初に迎えてくれる作品も、なんと「トルコ風呂」(1907)。アングル(1780~1867)の「トルコ風呂」(1862)に感銘を受けて描いたとのことですが、思い思いのポーズの女性たちは、ひんやりとした冷たい世界にいるかのようで、浴室の中とは思えません。犬を抱いた女性や果実を持った女性がいるのも謎で、視線の先も、いったい何を見ているのか。

バルテュス(1908~2001)が、片膝を立てた少女なら、ヴァロットンは、両膝を立てた裸婦。「肘掛椅子に座る裸婦」(1897)は、椅子にもたれ両膝を立てた裸婦が、両手をたらして眠っています。無防備なその姿は、画家の視線など知らぬげで、緑の壁と赤の椅子のコントラストがきいた空間に、奇妙な静けさが漂っています。

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「ボール」(1899)は、ボールを追う無邪気な麦わら帽子の女の子を描いているはずなのに、覆いかぶさるような木々の緑とその陰が、女の子の後ろにせまりきて、まるで喰いつくそうとしているかのよう。ふたりの女性が遠くで目を離している隙に、とんでもないことが起こりそうな緊張感が感じられます。

「貞淑なシュザンヌ」(1922)は、薄暗いピンクのボックス席で、男性ふたりと帽子を目深にかぶった女性が語らっています。旧約聖書では、長老から貞節を汚されそうになる女性とのことですが、ヴァロットンのシュザンヌはしたたかで、二人の男性を手玉にとっているかのよう。男性ふたりは禿げ上がり、頭部のハイライトが妙にリアルです。

神話を題材とした作品もヴァロットン風。「竜を退治するペルセウス」(1910)は、ワニのようで弱そうな竜を退治する、筋骨隆々で滑稽なペルセウス、そして、助けられたのは、若くも美しくもないアンドロメダというパロディです。

木版画も充実しており、「アンティミテ」(1897-98)は、覗き穴から見たようなヴァロットンの視点が、十二分に生かされた連作。ブルジョワ風の室内を舞台に、親密な男女を描いていながら、裏切りや欺瞞など妖しい緊張感が潜んでいます。描きこまれた室内装飾やドレスなどを細かく見るのもおすすめです。

ひとつひとつの作品に、想像力が掻き立てられ、さまざまなストーリーが浮かんできます。きっと、見る方によって違うはず。あなたのヴァロットンは、どんなでしょうか。

展覧会のホームページはこちらから
三菱一号館美術館

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テーマ:美術館・博物館 展示めぐり。 - ジャンル:学問・文化・芸術

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