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幻想絶佳 アール・デコと古典主義

1933年、フランスのアール・デコ様式を取り入れて建築された朝香宮邸。現在は、東京都庭園美術館として利用されていますが、当時の生活空間を再現するかのような展覧会が開催されています。展示されているのは、家具、磁器、ガラス、絵画、彫刻など、古典主義のアール・デコ作家たちの作品群。邸内には、当時の美意識が満ちています。
<会期:2015年1月17日(土)~4月7日(火)>

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花モチーフが織り込まれた椅子と、螺鈿などの細工で一面に花手綱があしらわれた木製キャビネット。果物や花が盛られた杯は半透明の磁器で、照明になっており、オレンジ色の光を放ったといいます。ロングドレスの2体の女性像は、白の素焼き磁器。頭より大きい果物かごと花を頭部に抱え、足元まで花綱を垂らしています。昼と夜と題された置時計は、男女の裸体がそれぞれ陰彫りと浮彫りに。

壁にかけられているのは、モーリス・ドニ(1870~1943)やデュフィ(1877~1953)の絵画。長い首とおおらかな表情が特徴的なブロンズのニンフ頭部像も目を引きます。

邸内で、その時代に立ち会っているような気持ちで鑑賞した後は、昨年11月のリニューアルでオープンした新館へ。新館には、ホワイトキューブの展示室があり、アール・デコ作品が、本館とは違った雰囲気で鑑賞できます。

ジャン・デュパ(1882~1964)「赤い服の女」(1927)は、白い岩肌の洞窟から顔を出しているようにも見える頭部と、赤の野菜のようにも見える衣服をまとった女性が描かれています。冷たい表情も独特の雰囲気です。

どの作品も興味深かったのは、ウジェーヌ・ロベール・プゲオン(1886~1955)。「蛇」(1930頃)は、両手をあげて身体をくねらせた裸の女性と、黒衣の女性が、白のたくましい馬の前に。足元には、蛇。白馬は、アダムを象徴しているのだとか。

「捕虜たち」(1932)は、馬たちを背後に、太い幹にしばられた裸の少女が二人。足元には、りんごが。また、「イタリアの幻想」(1928)は、鹿に見つめられた着衣と裸の女性が、分身のように背中合わせに。寓意が込められていることは間違いありません。

1910年頃、ドイツの新しいデザインの潮流に対抗し、フランスで生まれたアール・デコ。古典主義を下敷きとし、神話をテーマとすることも多かったといいます。幻想絶佳にひたってみては。

展覧会のホームページはこちらから
東京都庭園美術館

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テーマ:美術館・博物館 展示めぐり。 - ジャンル:学問・文化・芸術

奈良原一高 王国

1958年の「芸術新潮」で、“本年度最高の写真展”と評された奈良原一高(1931~)の「王国」展。北海道の修道院と、和歌山の女性刑務所という、外部とは隔絶された空間で「極限状況」を生きる人々をみつめた作品展です。そのモノクロームの世界は、静かながら力強く、まるで映画を見ているかのように、心に深い印象を残します。87点の作品を東京国立近代美術館で見ることができます。
<会期:2014年11月18日(火)~2015年3月1日(日)>

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北海道の修道院をテーマとした作品群は、「沈黙の園」(1958)と題されています。荒野にそれのみが建つ修道院。外部からも、一般的な日常生活からも離れ、信仰を生きる人々。祈りをささげ、羊や牛を飼い、畑を耕す。信仰の衣服をまとい、精神を研ぎ澄ます。彼らだけの「沈黙の園」に、見てはいけないものを見てしまったような心のざわめきを覚えました。

女性刑務所をテーマとした作品群は、「壁の中」(1956~58)。牢獄の扉の窓から両目だけを覗かせ、内部を監視する刑務官。バレーボールをする受刑者と窓際に置かれた女性雑誌。パーマネントをかける者や子どもを育てる者も。自ら望んで「沈黙の園」で暮らす人々とは異なり、外部に戻れるまでの時間をやり過ごしているようにも見えます。

自ら求めた祈りの生活と、法律で強制的に隔離された生活という違いこそあれ、どちらも閉ざされた空間に、壁の外の人々とは違う特異な思いを胸にした人々が暮らしています。作品は、一瞬をとらえた写真というより、何度も何度も構図を追求した絵画のような印象。この独特の雰囲気と表現の強さを、ぜひ実際に作品を目にして感じていただければと思います。

展覧会のホームページはこちらから
東京国立近代美術館

テーマ:美術館・博物館 展示めぐり。 - ジャンル:学問・文化・芸術

ホイッスラー展

―音楽が音の詩であるように、絵画は視覚の詩である。
このように語ったホイッスラー(1834~1903)の作品には、“シンフォニー”や“ハーモニー”、“ノクターン”といった名前がつけられています。ホイッスラーが求めたのは、絵画の主題や物語性ではなく、描かれた色と形の美しい調和でした。ホイッスラーの油彩、水彩、版画約130点を通して、究極の美を求めた画業を総覧する展覧会が横浜美術館で開催されています。
<会期:2014年12月6日(土)~2015年3月1日(日)>

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アメリカに生まれたホイッスラーは、1855年、21歳のときに画家を志し、パリに渡ります。そして、1859年にロンドンに移住。ラファエル前派との親交を深めるようになります。19世紀中頃、ヴィクトリア朝期のイギリスでは、見る人の目を歓ばせるための芸術として、純粋に色と形の美を求める唯美主義が展開していました。ホイッスラーは、唯美主義のリーダー的存在となります。

ホイッスラーの芸術において特徴的なのは、ジャポニスムの影響が色濃くみられること。“ノクターン”と名づけられた一連の風景画のひとつ「ノクターン:青と金色―オールド・バターシー・ブリッジ」(1872~75)は、バターシー橋がかかる夜のテムズ川の美しさを、青の濃淡で描いた作品。橋をクローズアップした構図や、引き伸ばされた橋げた、強調された橋の円弧に、浮世絵の影響が指摘されています。歌川広重「京橋竹がし」(1857)が一緒に展示され、比較することができます。

「白のシンフォニーNo.2:小さなホワイト・ガール」(1864)は、暖炉の前の白いドレスの女性が描かれていますが、暖炉の上には、朱塗りの椀や白磁の壺が置かれ、女性は団扇を手にしているなど、東洋モチーフがちりばめられています。透け感とボリュームのあるヨーロッパ調ドレスの表現も美しく、唯美主義の面目躍如です。

並んで展示されている「白のシンフォニーNo.3」(1865~67)は、白のソファにもたれる、白いドレスの2人の女性が描かれています。白の色彩の調和の中で、サーモンピンクの団扇がアクセントに。美しいものだけが描かれ、ラファエル前派の画家、アルバート・ムーア(1841~1893)の影響が指摘されています。

同系色でまとめられた肖像画も、静謐でどこか物憂げな独自の味わい。「灰色と黒のアレンジメントNo.2:トーマス・カーライルの肖像」(1872~73)は、寡黙で繊細な人物像を感じさせます。「黄色と金色のハーモニー:ゴールド・ガール―コニー・ギルクリスト」(1976~77)は、少女が舞台の上でなわとびをしているところを描いていますが、静かな気品が漂っています。

新年に、洗練された美しさと出会える展覧会です。

展覧会のホームページはこちらから
横浜美術館

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黒田記念館リニューアルオープン

洋画家黒田清輝(1866~1924)の遺言により、その遺産で1928年に竣工した黒田記念館。黒田の油彩画約130点、デッサン約170点、写生帖などを所蔵しています。耐震工事を終え、1月2日(金)にリニューアルオープンしました。

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記念館は、中世ヨーロッパの貴族の館を参照したといわれ、階段の手すりは優美なアールヌ―ヴォ風。2階には「湖畔」(1897)、「智・感・情」(1899)、「読書」(1891)、「舞妓」(1893)の4作品のみを鑑賞できる特別室が新たに設けられました。公開は年3回。
特別室開室日
2015年1月2日(金)~1月12日(月)
3月23日(月)~4月5日(日)
10月27日(火)~11月8日(日)

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青くかすむ芦ノ湖を背景に、団扇を手にした浴衣の女性。近代洋画の父といわれる黒田の作品「湖畔」は、誰もが一度は何かで目にしたことがあるのではないでしょうか。湖と浴衣の青、山の緑。涼やかで淡い色調で、明治という時代の気品ある女性像が描かれています。想像していたよりも全体的に白っぽい印象で、着物の胸元は、ほんのかすかにはだけており、その部分に夏の温度と湿度を感じてしまいました。

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1900年のパリ万博に出品され、銀賞を受賞した「智・感・情」。異なるポーズをとる等身大の裸婦像3点です。背景は金地だったとのことですが、亀裂が生じ、今は修復されています。右手を額に、内面をみつめているような「智」。正面を向き、両手のひじから上をあげた「感」。長い髪に右手をやり、何かに悩んでいるような「情」。人体のポーズによって抽象的な観念をイメージするというと、ホドラー(1853~1918)の作品を思い浮かべます。3体が、西洋人のようなプロポーションで描かれていることも、ホドラーを想起する所以かもしれません。

黒田記念館設立当初から黒田作品を展示している黒田記念室には、遺品であるイーゼル、椅子、絵具箱が置かれ、他の作品も多数見ることができます。上野の美術館を訪れた際、ぜひ立ち寄りたい記念館です。

ホームページはこちらから
黒田記念館

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