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よみがえるバロックの画家 グエルチーノ展

イタリアのバロック絵画を代表する画家とされるグエルチーノ(1591~1666)。ゲーテやスタンダールも彼を高く評価していたといいます。グエルチーノが生まれたボローニャ近郊の小さな町チェントは、2012年5月、地震に襲われ、美術館や教会は大きな被害を受けました。グエルチーノの充実したコレクションを所蔵するチェント市立絵画館は閉館し、復旧のめども立っていないそうです。震災復興事業として、グエルチーノの絵画が国立西洋美術館に貸し出され、収益の一部が絵画館の復興にあてられます。
<会期:2015年3月3日(火)~5月31日(日)>

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すばらしいのは、ドローイングなどを含めず、油彩画で構成されていること。しかも、大きな作品ばかりです。画家の名前を謳いながら大型の油彩画は数点しかなく、がっかりした経験はないでしょうか。ドラマティックで重厚な、油彩画大作が並んでいる様は圧巻です。

「キリストから鍵を受け取る聖ペテロ」(1618)は、378×222cm。天国への鍵である金の鍵と、地上での権力を表す銀の鍵の両方を受け取る聖ペテロ。空を飛ぶ天使が鑑賞者に向かって飛び出すように見えるなど、躍動感のある構成。エンジ、ブラウン、青を使用した、印象的な色彩。強い明暗の表現で、キリストの顔など明るい部分が浮き上がって見えます。思わず敬虔な気持ちになって、大画面を凝視してしまいます。

「聖イレネに介抱される聖セバスティアヌス」(1619)のように、傷ついた聖セバスティアヌスを手当てする場面でも、メスを立てる医者や海綿で血をぬぐおうとする聖イレネなど、今にも動きだしそうで、まるでドラマを見ているかのよう。

グエルチーノの画風は、ローマ滞在(1621-23)を境に、落ち着きのある構図と明快な形態に変化したといいます。「放蕩息子の帰還」(1627-28)は、ガラス窓から差し込む光で表現され、おだやかな雰囲気も感じられます。

天に上っていく聖母と天使たちを、下から見上げる構図で描いた、サンティッシモ・ロザリオ聖堂の天井画「聖母被昇天」(1622)。救いを求めるかのように天を見上げる独特のポーズが印象的な女性像など、次々と現れる作品群とじっくり対峙してみてはいかがでしょうか。

展覧会のホームページはこちらから
国立西洋美術館

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テーマ:美術館・博物館 展示めぐり。 - ジャンル:学問・文化・芸術

パスキン展

第一次世界大戦後の好景気に沸いた1920年代、「狂乱の時代」のパリ。退廃的で自由な雰囲気の中で、モディリアーニ(1884~1920)、シャガール(1887~1985)、レオナール・フジタ(1886~1968)など、世界各地からパリに集まった「エコール・ド・パリ」(パリ派)と言われる異邦人芸術家たちが活躍しました。副題に“エコール・ド・パリの貴公子”とあるように、ブルガリア出身のジュール・パスキン(1885~1930)もその一人です。その作品およそ120点を、パナソニック汐留ミュージアムで見ることができます。
<会期:2015年1月17日(土)~3月29日(日)>

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印象的なのは、ベージュっぽい背景に溶け込むような、やさしい色合いで描かれた女性像。晩年期の虹色に輝くような色彩は、「真珠母色」と呼ばれるそうです。

白いタイツにピンクのトゥシューズ。白っぽいブラウンの背景に、淡いピンクの衣装をまとった少女がまっすぐに立つ「少女-幼い踊り子」(1924)。肌色が背景に溶け込む中で、目鼻立ちが凛と際立っています。

愛人リュシーを描いた「テーブルのリュシーの肖像」(1928)。こちらも淡いブラウンの背景に、食卓に肘をつく物憂げなリュシーの姿が。ブルー、オレンジの小花がかすかに華やぎを添えています。リュシーへの愛情が感じられる作品です。

ソファでうたた寝をしているモデルを描いた「ミレイユ」(1930)。白っぽい光に溶け込むように描かれたミレイユを、やさしく慈しんでいるようです。

新鮮だったのは、戦火を逃れてアメリカに渡った時代に描いた「キューバでの集い」(1915-17)。飲み物を手に、談笑する男女。口ひげの男性がユーモラスで、キュビスム風の味わいも。緑の背景が南国的で、キューバの風土を感じます。

「人間、45歳を過ぎてはならない。芸術家であればなおのことだ。それまでに力を発揮できていなければ、その歳で生み出すものは、もはや何もないだろう」と語っていたパスキン。1930年、その45歳で、アトリエで自死をとげます。パリ中の画廊が弔意から店を閉じたといわれるほどの人気画家だったのですが…。壁には、血文字で「さよなら、リュシー」とあったとか。

リュシーとの結ばれない愛、ユダヤ系のルーツへの苦悩、放蕩な生活などが指摘されていますが、切ないですね。

展覧会のホームページはこちらから
パナソニック汐留ミュージアム

テーマ:美術館・博物館 展示めぐり。 - ジャンル:学問・文化・芸術

茂田井武展-記憶の頁-

戦中から戦後にかけて、挿画家・童画家として活躍した茂田井武(1908~1956)。ちひろ美術館ではじめて原画を目にし、強く心に残りました。1930年代のパリの情景を描いた「ton paris(トン・パリ)」、そして、晩年に力を注いだという、子どものための絵雑誌「キンダーブック」。それぞれの原画を、ノエビア銀座ギャラリーで見ることができます。
<会期:2015年1月13日(火)~3月27日(金)>

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キンダーブックの創刊は、1927年。北原白秋(1885~1942)、西條八十(1892~1970)、武井武雄(1894~1983)など、当代、一流の人々が制作に関わってきました。茂田井は、1950年頃から亡くなる直前まで描いています。ちいさな挿絵ではなく、見開きの大画面で見せる茂田井の絵は、異彩を放ち人気を博したといいます。展示されているのは、油彩画ですが、素朴な味わいの中に、独特の詩情が感じられます。現代に活躍する奈良美智(1959~)も、茂田井の絵のファンとのことで、時代を越えた魅力を多くの方が感じているのですね。

また、茂田井は1930年、鞄ひとつでパリに旅立っており、日本人クラブの食堂部で働きながら、夜になると絵日記のように、心に触れた光景を画帳に描きとめました。多くは戦災で消失したとのことですが、「ton paris」が現存し、こうして原画を見ることができるとは夢のようです。豊かな色彩としゃれた光景。1930年代のパリの香りが漂ってきます。

キンダーブックと「ton paris」。時代も画風も異なりますが、豊かな物語をたたえた茂田井武の世界が広がっています。前期展示は終了し、後期展示もあとわずかですが、貴重な機会なのではないでしょうか。

こちらの記事もぜひ
夢二からちひろへ-子どもの本の先駆者たち-
生誕120年 武井武雄の世界展

展覧会のホームページはこちらから
ノエビア銀座ギャラリー

テーマ:美術館・博物館 展示めぐり。 - ジャンル:学問・文化・芸術

ルーヴル美術館展 日常を描く-風俗画にみるヨーロッパ絵画の真髄

日本テレビが主催の一翼を担う展覧会ですが、日本テレビとルーヴル美術館は、2018年から4年に1度、計5回のルーヴル美術館展開催を決定したとのこと。5回目は2034年(!)というプロジェクトです。本展は、それに先駆けて国立新美術館で開催され、日常生活を題材とした「風俗画」約80点を集めています。
<会期:2015年2月21日(土)~6月1日(月)>

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絵画には、歴史画、肖像画、風景画、静物画、そして風俗画と種類がありますが、風俗画には、髪型や服装、生活習慣など当時の人々の有様や文化が反映され、ヨーロッパの時代性を知るうえでも興味深いですね。

初来日が話題となっている、フェルメール(1632~1675)の「天文学者」(1668)。思っていたより小さな作品で、最前列は歩きながらしか鑑賞できません。髪を肩まで垂らした天文学者が、右手で天球儀に触れています。青の着物のような衣服をまとっていますが、「日本の上着」と呼ばれたもので、当時、流行していたとか。

ティツィアーノ(1488~1576)「鏡の前の女」(1515)には、男性の持った2枚の鏡に姿を映す美しい女性が描かれています。金髪と白い肌、そして女性らしいふくよかな身体。当時の美女の条件を兼ね備えています。2枚の鏡は、女性の前後にあり、合わせ鏡で後ろ姿を見ているかのよう。

貧しい人々を描いた作品もあり、ムリーリョ(1617~1682)「物乞いの少年」(1647~48頃)には、つぎはぎの衣服を着て、蚤をとる少年の姿が。足の裏は泥で汚れ、小エビの殻が散乱した床に座っていますが、汚くはなく、静かな雰囲気。

他にも、天秤で金貨の重さを量る両替商、抜歯屋、占い師、酒を飲む男女、野外に集う貴族、狩猟、そして、室内で身づくろいをする女性など、仕事も階級も違うさまざまな人々の日常を見ることができます。世紀を超えて、ヨーロッパにタイムスリップしてみてはいかがでしょうか。

展覧会のホームページはこちらから
国立新美術館

テーマ:美術館・博物館 展示めぐり。 - ジャンル:学問・文化・芸術

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心が豊かになるアートを見つけに飛び立つ青い鳥です。

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