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江戸絵画への視線 岩佐又兵衛から江戸琳派へ

1966年7月7日に開館した山種美術館。50周年記念特別展として、同館が所蔵する江戸絵画の名品を見ることができます。まず展示されているのは、伊藤若冲(1716~1800)「伏見人形図」(1799)。愛らしい布袋の土人形7体が描かれたユーモラスな作品に、展覧会への期待が膨らみます。
<会期:2016年7月2日(土)~8月21日(日)>

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美術館創立者である山崎種二が丁稚奉公していた頃、酒井抱一(1761~1828)の絵を見たことが美術品蒐集のきっかけであったといいます。季節の花と鳥をモチーフとした酒井抱一の花鳥画は、赤・黄・白の鮮やかな菊と1羽のルリビタキを描いた秋の「菊小禽図」(19世紀)、そして、こな雪の舞い散る水辺の枯れた葦と2羽の白鷺を描いた冬の「飛雪白鷺図」(19世紀)。日本美術と自然の密接な関係が伺えます。

酒井抱一は月の表現もユニークであり、「秋草図」(19世紀)、「月梅図」(19世紀)に描かれている月は、輪郭に沿って金泥をぼかすことで、月の輪郭を浮かび上がらせるとともに、月の光も表現されています。屏風「秋草鶉図」(19世紀)の月は、金地に黒。銀が経年変化で黒くなったのではなく、意図的に表面を黒くしているとのことです。

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酒井抱一「秋草鶉図」

会場でひときわあでやかなのが、鈴木其一(1796~1858)「四季花鳥図」(19世紀)。右隻には、ひまわり、たんぽぽ、朝顔など春夏の花と鶏の家族。左隻には、菊、水仙など秋冬の花と雄雌のおしどり。咲き誇る花々と家族繁栄、なんとも幸せな光景です。

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鈴木其一「四季花鳥図」

他にも、筆ではなく、指や手のひら、爪を使って描いた池大雅(1723~1776)「指頭山水図」(1745)や、桃の花咲く山すその光景を桃源郷として描いた、山本梅逸(1783~1856)「桃花源図」(19世紀)など、見ごたえのある作品がそろっています。展覧会名にある岩佐又兵衛(1578~1650)の「官女観菊図」(17世紀)も緻密な筆致と、墨の濃淡だけで多彩な色を感じさせる表現が秀逸です。

山種美術館名品展の第二弾は、浮世絵のコレクション(2016年8月27日~9月29日)とか。こちらも楽しみですね。

※会場では、山種美術館所蔵の屏風4点のみ撮影可能です。

展覧会のホームページはこちらから
山種美術館

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テーマ:美術館・博物館 展示めぐり。 - ジャンル:学問・文化・芸術

横尾忠則 迷画感応術

世界的に評価の高いグラフィックデザイナー横尾忠則(1936~)が、ピカソやダ・ヴィンチなど世紀の芸術家へのオマージュとして描いた、遊び心あふれる作品群が、箱根の彫刻の森美術館で展示されています。彼らの名画をモチーフとした、横尾流の迷画のかずかずが楽しめます。
<会期:2016年3月19日(土)~8月28日(日)>

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レオナルド・ダ・ヴィンチ「モナリザ」(1503~19)の背景の前に立つのは、ピンクの肌にタトゥーを入れた金髪のポップな女性。奔放なポーズと原画とのギャップが悩ましい「モナリザとタトゥー」(2003)。

フットボールをする4人の男性を描いたアンリ・ルソー「フットボールをする人々」(1908)。横尾の同名の作品(1967)には、ボールの替わりに自分の頭部をなげる男性が。同じくアンリ・ルソーの「眠れるジプシー女」(1897)は、月夜の砂漠で眠るジプシーに近寄る1匹のライオンを描いた作品。ライオンはジプシーを襲うでもなく佇んで、詩的な月の光に包まれて、静かに時間がとまっています。横尾の「眠れるジプシー」(1967)には、ジプシーの姿はなく、ライオンだけが口から血をしたたらせて…。

岡本太郎「夜」(1947)は、枝を伸ばす大樹が青白く光り、ナイフを後ろ手に持った少女が、枝から顔をのぞかせる小さなドクロと対峙しています。一方、横尾の「夜の会合」(1997)は、枝は赤く光り、枝の向こうには星で形作られた大男の顔が。ナイフを持った少女は枝に乗り、枝と枝の間には、無数の脳が置かれ、枝は男の血管のようにも見えてきます。

ベラスケス「ラス・メニーナス」(1656)と自然の風景が渾然一体となった「集合と分散―その力の働き」(1991)も摩訶不思議な1枚で、モチーフとなった名画と横に並べて鑑賞したい作品ばかりが並んでいます。

また、会場の前には、カラフルな車が1台。よく見ると無数の丸いパレットで彩られています。横尾は作品を紙皿を使ったパレットを用いて制作しており、1枚のパレットからひとつの作品が創出されるとか。パレットも作品として、数百点分が大切に保管されているそうです。そのパレットから生まれた横尾デザインによるsmartアートカー(2016)。3月に、六本木のメルセデス・ベンツコネクションでプレス発表も行なわれたとのことです。時空を超えて迷画の中に連れて行ってくれそうですね。

201601 580

展覧会のホームページはこちらから
彫刻の森美術館

テーマ:美術館・博物館 展示めぐり。 - ジャンル:学問・文化・芸術

どうぶつ島たんけん

ブッシュの中から姿を現すライオン、大きなあくびをしているカバ、ダンスのように走るダチョウ、まつ毛ぱっちりのゴマフアザラシ。どこか愛らしい表情の動物たちが、壁面いっぱいに並んでいます。すべて、紙とはさみだけで制作されたパーパーカット作品です。里山をテーマとした作品で知られる写真家、今森光彦のどうぶつをモチーフとしたペーパーカット作品がノエビア銀座ギャラリーで展示されています。
<会期:2016年7月4日(月)~9月2日(金)>

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写真家である今森さんが、切り紙も手がけているとは驚きです。写真家としての今森さんは、琵琶湖を望む田園にアトリエを構え、ふるさとである琵琶湖周辺の里山を30年以上にわたり撮り続けています。人間が自然から恵みを得、自然と人間がともに暮らす里山。今森さんは、そんな里山を大切に思い、里山を未来に受け継いでいきたいと考えているのです。

そんな今森さんのペーパーカット作品は、植物、動物、昆虫など、すべて自然がモチーフです。小学生の頃から、生き物が大好きで、裁縫箱からお母さんの大きな裁ちばさみをそっと借りては、昆虫や植物の切り紙をしていたそうです。自然の中で「美しい」と感じたその感動を何かで表現したいと思った時、たまたま家にあったのが、「紙」と「はさみ」だったのですね。

20代、30代は写真家として活躍していましたが、40代に入り、再び切り紙をやってみたところ、写真以上の表現方法だと思うようになりました。「切り紙は、写真以上にモチーフを観察し、頭の中で整理します。美しい部分はより美しく、そうでない部分はあまり強調せず、と無意識にデフォルメしているのです。それによって、自分が何をおもしろいと思っているかが写真以上に表れてきます。」(今森さん)

今森さんは、アトリエを置く滋賀県で、子どもたちと一緒に里山を巡り昆虫を学ぶ「昆虫教室」も開催しています。目的としているのは、虫をとることではなく“自然と触れ合う環境を与える”こと。今森さん流の言葉で言うと、それは“感性の栄養”なのだそうです。

琵琶湖の田園近くで過ごした幼少期や、写真家として世界各国の熱帯雨林やサバンナを訪れ、多くの“本物”を見てきた経験が、今森さんの作品づくりに大いにいかされています。ずっと変わらないのは、自然が大好きだという気持ち。見たもの全部を作品化したい、それが、今森さんの壮大な夢なのだそうです。

ギャラリーには、世界中を旅した今森さんが世界各国で出会った「どうぶつ」たちがいっぱいです。今森さんの、どうぶつたちへの愛情を感じてみませんか。

展覧会のホームページはこちらから
ノエビア銀座ギャラリー

テーマ:美術館・博物館 展示めぐり。 - ジャンル:学問・文化・芸術

安西水丸展

切り絵風で独特のタッチの安西水丸(1942~2014)のイラストレーションを、村上春樹の本の表紙や絵本、広告などさまざまなかたちで目にしてきました。初めてみた原画には、部分的に透明なカラーシートが貼られており、驚きました。ペンで線画を描き、色ベタ部分には、カッターで切り抜いたカラーシートを貼って仕上げられていたのです。

安西水丸の原画や漫画、手がけた書籍やポスター、版画などの作品に加え、コレクションしていた小物などの展示を通して、その画業を振り返る展覧会が美術館「えき」KYOTOで開催されています。
<会期:2016年6月17日(金)~7月10日(日)>

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会場には、本名の渡辺昇として、学生の頃に描いた作品も展示されています。3歳の頃に喘息を患い、東京赤坂から千葉県千倉町に移住。この地で絵を描く楽しみを覚えたそうです。小学生のときに描いた、馬に乗った男女が駆け抜ける絵は、すでに疾走感があふれています。

1965年、日大芸術学部の卒業制作で描いた「オーシャンと11人の仲間たち」は、奪った金を友人の棺に隠したものの、そのまま火葬されてしまったという、ちょっとブラックなストーリーを描いた連作。ルーレットやビリヤード、教会など、アメリカ的なモチーフがちりばめられ、「アメリカの広告にあこがれていた」という当時の思いが感じられます。平凡社に入社する前は、ニューヨークのデザイン事務所でも働いていました。

平凡社に入社後、編集者だった嵐山光三郎と漫画雑誌「ガロ」や絵本「ピッキーとポッキー」などの仕事を手がけますが、イラストレーター和田誠と組んだ仕事もユニークです。それは、2人で1枚の絵を仕上げるという取り組み。先に描く方が左側に絵を描き、終わったら絵を渡して、後に描く方が空いている右側に描いたとか。「月とスッポン」「赤い傘と怖い傘」「カブト虫とカブト武士」などタイトルもユニーク。2人展は、2001年から2014年まで開催されていたといいます。作品は200点以上。見逃したのが本当に悔やまれます。

安西は、画面を横切る1本の線をホリゾン(水平線)と呼び、「ホリゾンを引くことで、コーヒーカップがちゃんとテーブルの上に載っているイメージがだせる」と語っていました。ホリゾンを引くとき、千倉の海の水平線が目に浮かぶとも。幼い頃を過ごした千倉の海は、イラストレーター安西水丸の原点だったのかもしれません。

201601 492

展覧会のホームページはこちらから
美術館「えき」KYOTO

テーマ:美術館・博物館 展示めぐり。 - ジャンル:学問・文化・芸術

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心が豊かになるアートを見つけに飛び立つ青い鳥です。

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