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ヴェネツィア・ルネサンスの巨匠たち

日伊国交樹立150周年ということで、今年は、ボッティチェリ、カラヴァッジョからポンペイの壁画に至るまで、イタリア美術を堪能する恩恵に浴しています。そしてこの夏、国立新美術館で見ることができるのは、選りすぐりのルネサンス期ヴェネツィア絵画。特に、高さ4メートルを超えるティツィアーノ(1490頃~1576)の大作「受胎告知」(1563~65頃)は、サン・サルヴァドール聖堂の祭壇画を持って来てしまったというから驚きです。
<会期:2016年7月13日(水)~10月10日(月)>

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展示室の赤の壁面にただ1点掛けられた「受胎告知」。入ったとたん、その大きさに息をのみます。上部の天が開き、光とともに舞い降りる聖霊の鳩。天には、金褐色で描かれた無数の天使たち。下部には大天使ガブリエルと、そのお告げをヴェールをつまみあげて聞くマリア。縦長の構図が存分に生かされ、なんともドラマティック。

ルネサンスと一口にいっても、フィレンツェの画家たちが整然とした構図であったのに対し、ヴェネツィアの画家たちは大胆かつ劇的な構図で、色彩表現も豊かであったとのことですが、この作品を見るとよくわかります。

また、描かれている主題が共通であることが多いので、比較する楽しみもあります。受胎告知の三連画のひとつである、ボニファーチョ・ヴェロネーゼ「父なる神のサン・マルコ広場への顕現」(1543~53)には、雲と一体となって空に現れる父なる神の側に、ティツィアーノも描いた聖霊の鳩が。

マリアやキリスト以外に、よく描かれる聖ヒエロニムスは、聖書をラテン語に翻訳した神学者で、白髪でヒゲの老人。ライオンを従え、枢機卿の赤い帽子や書物などがいっしょに登場します。修行中に性的妄想をしてしまったときには、右手に持った石で自らの胸をたたいて戒めたとか。本展の何作かでも見ることができます。

創世記に基づく天地創造の場面やノアの箱舟。王の息子にいいよられ、自ら命を絶ったルクレティアや、愛の女神ヴィーナスなども知られたモチーフです。そして、聖母子。ジョヴァン二・ベッリー二(1430頃~1516)「聖母子」(1485~90)の背景には、雲に乗った赤い智天使が描かれていますが、丸い顔から羽が生え、ユルキャラのように個性豊かです。

奇跡のような大作を含む約60点が楽しめます。

展覧会のホームページはこちらから
国立新美術館

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テーマ:美術館・博物館 展示めぐり。 - ジャンル:学問・文化・芸術

木々との対話 再生をめぐる5つの風景

展示室に足を踏み入れたとたん、木の香りに包まれ、穏やかですがすがしい気持ちになります。國安孝昌(くにやすたかまさ)、須田悦弘(すだよしひろ)、田窪恭治(たくぼきょうじ)、土屋仁応(つちやよしまさ)、舟越桂(ふなこしかつら)、木を素材とした彫刻やインスタレーションに取り組む5人の作家の展覧会が、東京都美術館開館90周年記念展として開催されています。
<会期:2016年7月26日(火)~10月2日(日)>

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白木を見たときに覚える、無垢で神秘的な感覚。それがそのまま作品の印象と重なるのが土屋仁応(1977~)の木彫作品です。身近な動物や架空の生き物を仏像彫刻の技法を取り入れて彫り出し、瞳に水晶をはめ、着色して完成させます。無垢な魂を宿し、静かに佇む動物たち。幻想の森に迷い込んだかのような思いにとらわれます。

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土屋仁応 森(2012)

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土屋仁応 牡羊(2012)

独特の気品がある木彫の半身像で知られる舟越桂(1951~)。函館のトラピスト修道院から聖母子像を依頼されたことが転機となったといいます。どこか聖的なニュアンスを感じるのはそのせいでしょうか。大理石で作られた、左右どこを見ているのかわからない目。心の中をみつめているような、遠いまなざしにも魅了されます。彫刻の前に必ず行なうというドローイングも見ることができます。

國安孝昌(1957~)は、丸太と陶ブロックを積み上げたダイナミックなインスタレーションが信条。高さ10メートルの巨大空間に出現する作品は迫力があり、どこか、原始の神に向かって積み上げられているようにも感じられます。

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國安孝昌 静かに行く人は、遠くへ行く。(2016)

須田悦弘(1969~)の繊細で本物と見まがうような植物の彫刻作品は、思いもかけない場所に置かれており、それを探すのも楽しみのひとつ。壁の隅や展示空間の隙間、そして展示室以外にも…。

田窪恭治(1949~)は、廃材に金箔を貼って、作品として再生。自らが成長し、建築物や道具、そしてアートとして新たな命を育む「木」。それぞれの作品とどんな対話が生まれるでしょうか。

展覧会のホームページはこちらから
東京都美術館

テーマ:美術館・博物館 展示めぐり。 - ジャンル:学問・文化・芸術

メアリー・カサット展

アメリカ、ペンシルヴァ二ア州の銀行家の家に生まれたメアリー・カサット(1844~1926)は、パリで絵の勉強をしたいと父親に告げたとき、「お前が死ぬのを見るほうがましだ」と言われたといいます。反対を押しきり21歳で渡仏したものの、国立美術学校は女性を受け入れておらず、ルーブル美術館で模写をして勉強する日々であったとか。先進的であったと思われる欧米においても、女性が画家になることには偏見のある時代だったのですね。

パリでカサットの才能を認めたのは、カサット自身もあこがれていたエドガー・ドガ(1834~1917)でした。カサットはドガの誘いを受け、印象派展に出品するようになります。女性の職業画家が少なかった時代に、困難を乗り越えて画家となったカサット。その回顧展が、横浜美術館で開催されています。
<会期:2016年6月25日(土)~9月11日(日)>

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ドガやルノワール(1841~1919)など印象派の画家たちが好んだ主題である「劇場の桟敷席」をカサットも描いています。カサットの「桟敷席にて」(1878)が、男性画家が描いた作品と異なるのは、観劇をする女性の華やかで官能的な美しさを描いたのではなく、鑑賞に集中する女性の知的な美しさを描いたこと。女性が着ているのは、肌をだしたドレスではなく、きっちりと肌を覆った黒のドレス。遠くの客席から女性を見ている男性がいますが、オペラグラスを覗き込む女性は、男性の視線など気にしていません。主体的な女性の姿がそこにあります。

また、「女性の人生において大切なことは母になること」と述べていたカサットは、母と子の姿も多く描いています。カサット自身は、生涯独身を貫いたとのことですが、母子像を描くことによって、母親の目線を得ていたのでしょうか。

ブルーと白の明るい色彩で描かれた「眠たい子どもを沐浴させる母親」(1880)には、膝に子どもを抱き、いとおしげなまなざしを向けながらも、片手はしっかりとスポンジをしぼり、主体的に子育てをする女性の姿が。「母の愛撫」(1896)においても、母親の頬をさわろうとする子どもの手をがっちりとつかむ母の手は力強く、母という意志に満ちています。

1890年に開かれた浮世絵版画展を見て感動したというカサットの、多色刷り銅版画10点の連作も見逃せません。描かれているのは、子どもをたらいで湯浴みさせる女性や、ドレスの仮縫いをしたり髪を結う女性、母と子のキスなど、日常の情景。主題や構図に浮世絵の影響が見られるとのことですが、迷いのないクールな印象があります。カサット自身も「いかに線を引いたらよいか勉強することができた」そう。

画家として、女性として。カサットの生き方にも興味が深まる展覧会です。

展覧会のホームページはこちらから
横浜美術館

テーマ:美術館・博物館 展示めぐり。 - ジャンル:学問・文化・芸術

FLOWERS BY NAKED フラワーズバイネイキッド 魅惑の楽園

満開の桜の木の下で春を胸いっぱいに感じたとき、そして、大輪のバラの花束を手にしたとき。花はその色やかたち、匂いで五感を魅了し、幸せな気持ちをもたらしてくれます。この夏、生花、オブジェ、映像、インタラクティブ、香りなどに独創的な演出を凝らし、「花」を五感で楽しめるイベント「フラワーズバイネイキッド(FLOWERS BY NAKED) 魅惑の楽園」が、六本木の東京ミッドタウン・ホールで開催されています。
<会期:2016年7月30日(土)~8月31日(水)>

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会場に入ると、花の香りに包まれ、美しい花の映像のデジタルブックのページが開いて、「魅惑の楽園」がスタートします。「フラワーズバイネイキッド」は、花をテーマに、本物の植物とプロジェクションマッピングが融合した、デジタルアートのイベント。今年初めにも開催され、70000人を超える人々を魅了したというイベントの夏バージョンです。手がけたのは、クリエイティブカンパニー「NAKED」。新江ノ島水族館のナイトアクアリウムや、東京駅のプロジェクションマッピングなどでも注目を集めています。

次々と現れる、トロピカルな花と映像技術のコラボレーション。例えば、巨大なクジャクの羽根をモチーフにした壁面アート「MOSAIC FLOWERS」。モザイクアートでできた羽根の前に立つと、目の前にハイビスカスやプルメリアなど「自分の花」が咲き、花言葉が表示されます。

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ひまわりをイメージした「SUN FLOWER」では、高さ6メートルの塔の中央にあるひまわりのオブジェに触れると、塔にひまわりの花がマッピングされ、ひらひらと花びらが舞い落ちます。

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総合演出を務めたのは、NAKED代表の村松亮太郎さん。デジタル技術を使うのは、画家にとっての筆のような感覚だといいます。最新のテクノロジーに使われてしまうのではなく、いかに人に寄り添い、人にとって気持ちのよいことができるかを常に考えているのだとか。

都会の真ん中で味わう、真夏のファンタジー。新しい技術で自然に癒される、そんな空間を体感してみませんか。

テーマ:美術館・博物館 展示めぐり。 - ジャンル:学問・文化・芸術

村上春樹とイラストレーター 佐々木マキ、大橋歩、和田誠、安西水丸

小説、エッセイ、絵本など、村上春樹(1949~)の書籍には、文章の世界観を伝える魅力的なイラストレーションが登場します。文章と画風が一体となって、何かを語りかけてくるのです。村上春樹と共作した4人のイラストレーターの原画展が、ちひろ美術館・東京で開催されています。
<会期:2016年5月25日(水)~8月7日(日)>

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村上春樹のデビュー作「風の歌を聴け」(1979)から続く3部作の表紙を飾ったのは佐々木マキ(1946~)。雑誌「ガロ」に掲載されていた佐々木の漫画を気に入った村上は、自ら表紙画を依頼したとか。鮮やかな色面で描かれた佐々木のイラストは、どれも意味ありげ。

倉庫街のはずれの突堤に佇む青年を描いた「風の歌を聴け」は、オレンジの夜空にブルーの海。空には土星、海には酒瓶が浮かびます。「1973年のピンボール」は、ジェイズ・バーのカウンターを挟んだ二人の男性を描き、足元には1匹のネコが。「羊をめぐる冒険」は、ホテルの前に立つ男性の影が長く伸び、ホテルの壁面に羊のかたちとなって現れます。

大橋歩(1940~)は、平凡パンチの表紙画のイメージがありますが、雑誌ananに連載された村上のエッセイ「村上ラヂオ」の挿画は、シンプルな線を生かした銅版画。どことなくほのぼのとしています。

和田誠(1936~)は、音楽をテーマとした共作が印象的です。1992年、和田は「JAZZ」と題し、ジャズ・ミュージシャンを描いた油彩画の個展を開催します。村上は、これらの絵に文章をつけてみたいと申し出、共作が実現したといいます。出版された「ポートレート・イン・ジャズ」は、ともに音楽好きの二人の感性が融合した、心地よい1冊です。

安西水丸(1942~2014)とは公私にわたり、親交が深かったそう。村上がエッセイを書き、それに合わせて安西が絵を描いた「ランゲルハンス島の午後」や、かるた仕立ての「村上かるた」は、それをよく示す作品。和田と安西はイラストレーションの共作もあり、村上も含めた3人でのコラボレーションもみられます。文章と画という違いはあっても、都会的で洗練された空気感は3人に共通のもの。同じ感性の中で自由に表現した、彼らの息づかいが伝わってくるようです。

こちらの記事もぜひ
安西水丸展

展覧会のホームページはこちらから
ちひろ美術館・東京

テーマ:美術館・博物館 展示めぐり。 - ジャンル:学問・文化・芸術

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心が豊かになるアートを見つけに飛び立つ青い鳥です。

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