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鴨居玲展 踊り候え

心の傷を抉り出すような、魂の叫びが聞こえてくる作品群。顔に深いシワが刻まれた老婆、腕を失った廃兵、そして、多く残した自画像。命を削るようにして描かれた油彩、素描、遺品など約100点を、東京ステーションギャラリーで見ることができます。
<会期:2015年5月30日(土)~7月20日(月)>

201505 148

鴨居玲(1928~85)が「静止した刻」(1968)で安井賞を受賞するのは、1969年、41歳のときでした。テーブルを囲み、サイコロを振る4人の男たちは、いずれも肉感がなく、ドクロを思わせるたたずまい。

その後、スペインに渡り代表作を生み出し、パリやニューヨークで個展を開催して「世界の鴨居」となっていきますが、スペイン時代のモチーフは、酒に酩酊する男性や、魔女のような老婆、傷痍軍人などの人物。暗く重い画面に、自らをなぞらえるかのように描かれています。どこか自虐的で、陰鬱な世界。

画業は順調のように思われましたが、鴨居の心は満たされず、1977年帰国後は、新たな展開が見出せず、もがき苦しんだといいます。死の影が色濃く漂う、1980年代の鴨居。「1982年 私」(1982)は、画面中央に、真っ白のカンヴァスを前に憔悴した表情の鴨居自身が描かれています。まわりをそれまでに描いたモチーフたちが取り囲むものの、鴨居の手に絵筆はなく、「もう描けない」という声がきこえてくるよう。

半分、口をあけた自画像には、焦燥や絶望が感じられ、精悍で何者かになろうとする19歳の時に描いた自画像とは、比べようもありません。死の年の1985年に描かれた「肖像」は、鴨居の顔を仮面のように剥ぎ取った、のっぺらぼうの人物が描かれています。もう何もない、さようなら、と言っているようにも感じられ、心が痛みます。

メインビジュアルは、赤の背景に赤の衣服をまとった、鴨居の顔をした道化師。上半身をそらし、ポケットに手をつっこんだ独特のポーズ。仮面をかぶり続けることに疲れたのでしょうか。

遺品である鴨居のパレットには、溶岩のように絵具がうず高く置かれています。主を失った後も残り続ける、その確かな存在感も作品のように感じられます。

展覧会のホームページはこちらから
東京ステーションギャラリー

テーマ:美術館・博物館 展示めぐり。 - ジャンル:学問・文化・芸術

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