安西水丸展

切り絵風で独特のタッチの安西水丸(1942~2014)のイラストレーションを、村上春樹の本の表紙や絵本、広告などさまざまなかたちで目にしてきました。初めてみた原画には、部分的に透明なカラーシートが貼られており、驚きました。ペンで線画を描き、色ベタ部分には、カッターで切り抜いたカラーシートを貼って仕上げられていたのです。

安西水丸の原画や漫画、手がけた書籍やポスター、版画などの作品に加え、コレクションしていた小物などの展示を通して、その画業を振り返る展覧会が美術館「えき」KYOTOで開催されています。
<会期:2016年6月17日(金)~7月10日(日)>

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会場には、本名の渡辺昇として、学生の頃に描いた作品も展示されています。3歳の頃に喘息を患い、東京赤坂から千葉県千倉町に移住。この地で絵を描く楽しみを覚えたそうです。小学生のときに描いた、馬に乗った男女が駆け抜ける絵は、すでに疾走感があふれています。

1965年、日大芸術学部の卒業制作で描いた「オーシャンと11人の仲間たち」は、奪った金を友人の棺に隠したものの、そのまま火葬されてしまったという、ちょっとブラックなストーリーを描いた連作。ルーレットやビリヤード、教会など、アメリカ的なモチーフがちりばめられ、「アメリカの広告にあこがれていた」という当時の思いが感じられます。平凡社に入社する前は、ニューヨークのデザイン事務所でも働いていました。

平凡社に入社後、編集者だった嵐山光三郎と漫画雑誌「ガロ」や絵本「ピッキーとポッキー」などの仕事を手がけますが、イラストレーター和田誠と組んだ仕事もユニークです。それは、2人で1枚の絵を仕上げるという取り組み。先に描く方が左側に絵を描き、終わったら絵を渡して、後に描く方が空いている右側に描いたとか。「月とスッポン」「赤い傘と怖い傘」「カブト虫とカブト武士」などタイトルもユニーク。2人展は、2001年から2014年まで開催されていたといいます。作品は200点以上。見逃したのが本当に悔やまれます。

安西は、画面を横切る1本の線をホリゾン(水平線)と呼び、「ホリゾンを引くことで、コーヒーカップがちゃんとテーブルの上に載っているイメージがだせる」と語っていました。ホリゾンを引くとき、千倉の海の水平線が目に浮かぶとも。幼い頃を過ごした千倉の海は、イラストレーター安西水丸の原点だったのかもしれません。

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展覧会のホームページはこちらから
美術館「えき」KYOTO

テーマ:美術館・博物館 展示めぐり。 - ジャンル:学問・文化・芸術

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