ゴッホとゴーギャン展

オランダ生まれのゴッホ(1853~1890)と、フランス・パリに生まれ、ペルーで子ども時代を過ごしたゴーギャン(1848~1903)。1888年の秋、ふたりは南フランスのアルルで共同生活をおくっていたといいます。その年の12月、衝撃的な幕引きを迎えるまでは…。街を歩いていたゴーギャンに剃刀を持ったゴッホが走りより、その場では何もないまま立ち去りますが、気持ちのやり場を失ったゴッホは、自らの左耳を切り落とすのです。共同生活こそ破綻しますが、互いに尊敬し合い影響し合った間柄であったことがよくわかる、ふたりの展覧会が東京都美術館で開催されています。
<会期:2016年10月8日(土)~12月18日(日)>

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オランダ時代のゴッホは暗い色調の作風でしたが、32歳でパリに移ってから、印象派の輝く色彩や浮世絵の影響を受け、私たちがよく知るゴッホらしい表現へと変化していきます。展示されているゴッホの自画像の変遷にもそれがよく表れています。

そして、35歳のゴッホが向かったのは、陽の光にあふれ、果樹園や小麦畑が広がる南フランスのアルル。アルルで描かれた「収穫」(1888)には、青空の下、黄金色に輝く一面の小麦畑が色鮮やかに力強く描かれています。ゴッホの自然への愛情が溢れているようです。ともに絵を描きたいと、アルルにゴーギャンを招いたゴッホは、ゴーギャンの部屋を自らのひまわりの絵で飾り、迎え入れたとか。

一方、アルルでゴーギャンが描いた収穫の情景は、「ブドウの収穫、人間の悲惨」(1888)。アルルのブドウ収穫の場面に、そこにいるはずのないブルターニュの民族衣装をまとった女性と、ペルーのミイラのポーズをとる女性が描かれるという想像の世界です。記憶や想像を現実と組み合わせて描くゴーギャンの絵は、現実をありのままに描いたゴッホの「収穫」とは、あきらかに異なります。このような個性の違いが、少しずつふたりの亀裂を深めていったのでしょうか。ゴッホは、この絵を称賛したとのことですが。

ゴッホはゴーギャンをアルルに迎えるにあたり、自分にはシンプルな椅子を、ゴーギャンには肘掛け付きの椅子を用意したといいます。衝撃的な事件が起こる前に、ゴッホが描いた「ゴーギャンの椅子」(1888)。ガス灯のともる部屋に置かれたゴーギャンの肘掛け椅子が、画面いっぱいに描かれています。椅子の上には、ろうそく台と書物。想像から絵画世界を広げるゴーギャンを象徴しているといわれ、ゴーギャンの面影を重ねたゴッホの絵からは、ゴーギャンへの尊敬の念が感じられます。

事件の2年後、ゴッホはピストル自殺。その死から、11年後にゴーギャンが描いた「肘掛け椅子のひまわり」(1901)が展示されています。ひまわりの種をタヒチに取り寄せ、ゴッホが愛したひまわりを描いたゴーギャン。肘掛け椅子の上に置かれたひまわりには、ゴッホへの愛情が感じられ、胸を打ちます。

切ないまでのお互いへのオマージュとしての作品を含む、約60点が楽しめます。

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展覧会のホームページはこちらから
東京都美術館

テーマ:美術館・博物館 展示めぐり。 - ジャンル:学問・文化・芸術

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