拝啓ルノワール先生

この秋、交流のあった二人の画家に注目した展覧会が開かれています。ひとつは、フランスのアルルで2ヶ月をともに暮らしたゴッホ(1853~1890)とゴーギャン(1848~1903)の作品を比較しながら鑑賞できる、東京都美術館のゴッホとゴーギャン展。さらに三菱一号館美術館では、ルノワール(1841~1919)と、晩年のルノワールに師事した梅原龍三郎(1888~1986)の作品を、周辺の画家たちの作品とともに見ることができます。
<会期:2016年10月19日(水)~2017年1月9日(月)>

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画業を志した梅原は、20歳で渡仏。渡航費用は父親が出したといい、生家が京都の裕福な染物問屋だったことが幸いしています。パリに着いてルノワールの絵を知った梅原は、「此の画こそ私が求めて居た画」だと感動し、ルノワールの別荘を訪問。ルノワールは見ず知らずの日本の若き画家を受け入れ、昼食をともにして語らったそう。

以後、ルノワールの指導を受けるようになったという梅原の「読書」(1911)には、技法だけでなく、本を読む女性のポーズや表情にまで、ルノワールの影響が色濃く感じられます。1913年の帰国後、再訪がかなわなかった梅原は、1919年、ルノワールの死に際し「足もとから地が裂けて来た様な驚きと悲しみに打たれた」と記しています。

そして遺族を弔問した梅原が、ルノワールのアトリエで目にしたのが3点の「パリスの審判」。会場には、2点のルノワールの同作と、後年、90歳の梅原が模写したという「パリスの審判」(1978)が展示されています。梅原の模写には師への思いが溢れているのか、90歳の作とは思えないほど力強く自由で、女神たちは画面からはみ出さんばかりです。

かといって梅原は、ルノワール一辺倒であったわけでもないようで、交流のあったルオーやピカソの作品も蒐集していました。ポンペイの壁画も模写しています。周辺の画家たちの作品といっしょに鑑賞すると、梅原の作品の中に、それぞれの画家たちからの影響が混ざり合っているように見えてきます。梅原の日本人離れした力強い線と色彩は、貪欲にフランスを吸収した渡仏経験あらばこそ、と感じるのです。

ルノワールがオリーブの木陰で描くのを好んだことにならい、軽井沢の別荘で楓の木をたびたび描いたという梅原。日本でルノワールの紹介に努め、評価と知名度を高めたといいます。拝啓ルノワール先生、その後に続く言葉を想像してみるのも楽しい展覧会です。

201601 878

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ゴッホとゴーギャン展

展覧会のホームページはこちらから
三菱一号館美術館

テーマ:美術館・博物館 展示めぐり。 - ジャンル:学問・文化・芸術

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