魅惑のニッポン木版画

年初から江戸東京博物館で「大浮世絵展」が開催され、浮世絵から大正・昭和の新版画までの流れを見ることができました。横浜美術館の「魅惑のニッポン木版画」では、時代が下って、平成の現代アートで実践される木版画が多数加わり、幕末から平成まで、木版画の魅力が堪能できます。
<会期:2014年3月1日~5月25日>

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小学生の頃、彫刻刀で木を彫り、バレンで版画を摺った記憶は、誰もが持っているのではないでしょうか。木版画は日本人にとって身近なものであり、明治・大正期においては、千代紙・団扇絵・引札(広告チラシ)などに使用され、庶民の暮らしに彩りを添えてきました。生活と美術の融合を目指した竹久夢二(1884~1934)は、1914年、「港屋絵草紙店」を日本橋に開店し、千代紙や絵封筒、ぽち袋などを販売しています。椿やきのこを図案化したモダンで美しい千代紙が展示されていますが、当時の多くの女性の心をとらえたに違いありません。

また、浮世絵は、絵師・彫師・摺師という職人の分業によって制作されていましたが、大正・昭和期には、実用目的ではなく芸術表現としての版画を目指し、下絵から摺刷までひとりで行う「創作版画」が盛んになります。恩地孝四郎(1891~1955)の「ダイビング」(1936)は、ダイビングする女性を下からとらえた大胆な構図が印象的で、木版画の概念が覆されます。川上澄生(1895~1972)の「南蛮船図」(1939)は、太めの黒の線を生かしたステンドグラスのような味わいが個性的です。

戦後、日本の木版画は国際的にも高く評価されるようになりますが、棟方志功(1903~1975)や恩地孝四郎などが海外へと活動の場を広げる背景には、アメリカ進駐軍のコレクターの存在があったといいます。江戸絵画にしてもそうですが、日本美術の価値はアメリカ人コレクターの目利きによって、先に見出されてしまうのですね。

そして平成期において、木版技法で新しい表現を追求しているアーティストの作品も展示されています。桐月沙樹(1985~)の「ナミマノダンサー」(2011)は、木目を彫り、バレリーナのモチーフを反復させて刷り込んだ作品。画面全体に流れる木目の中に、いくつものバレリーナが見え隠れし、現れては消える踊り手が美しい旋律を奏でています。これが木版画!?と思うような作品もあり、新時代の「ニッポン木版画」にも魅了されます。

展覧会のホームページはこちらから
横浜美術館

テーマ:美術館・博物館 展示めぐり。 - ジャンル:学問・文化・芸術

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