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菱田春草展

菱田春草(1874~1911)は、横山大観(1868~1958)らとともに岡倉天心(1863~1913)の薫陶を受け、明治期の日本画に大きな足跡を残しました。特に、色をぼかして空気を表現しようとした“朦朧体”や、背景描写を省いた画法など、常に新たな画風を展開。生誕140年を記念して、東京国立近代美術館で開催されている回顧展には、重要文化財を含む代表作が集まり、充実のラインナップとなっています。
<会期:2014年9月23日(火)~11月3日(月)>

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日本画の線は境界の線ではなく、意味を表す―。初期の春草は、線描を重視していました。「水鏡」(1897)は、水に映った自分の姿に見入る天女を描いていますが、色の移り変わる紫陽花をあしらい、天女の美しさもいつかは衰えることを暗示しているとか。ふっくらとした頬、アーチ型の眉、すずやかなまなざし。輪郭線と彩色が美しければ美しいほど、悲しみを誘います。

輪郭線を描かず、色をぼかし重ねた“朦朧体”の代表作とされる「王昭君」(1902)。敵国にさし出される女性と、それを見送る女性たち。薄いベールをかけたようなやわらかな色彩で、女性の肌も衣服も透き通るよう。夢見るような気分が漂う作品です。雨後の虹や雨の中の牡丹、かすむ木々の葉や茜色に染まる空などが、同じ表現方法で描かれた作品も。

インドやヨーロッパなどへの外遊後、春草の色彩表現はさらに変化します。「夕の森」(1906)は、夕陽を受けた赤茶色の木々に、鮮やかな青の縁取りが。補色の組み合わせですが、光を受けた中での影の存在が際立つように感じられます。「春丘」(1905~06)に描かれているのは、ピンクと若草色で埋め尽くされた春の丘。さまざまな色彩表現を追求していたことがわかります。

木立と落葉を描いた屏風「落葉」(1909)は、奥の木ほど、根元の位置を上に描き淡い色調とすることで、奥行きを表現。奥の木々が背景に溶け込み空間が広がる様は、長谷川等伯(1539~1610)の「松林図屏風」(16世紀)を彷彿とさせます。

そして、猫。重要文化財の「黒き猫」(1910)は後期展示ですが、柿と黒猫を描いた「黒猫」(1910)や、柿、紫苑と黒猫を描いた屏風「黒き猫」(1910)などを見ることができます。いずれも背景は省かれ、モチーフだけが描かれているため、えもいわれぬ猫の存在感が感じられます。ついに背景が、金地のみとなってしまったのが「早春」(1911)。没年に描かれた作品ですが、金地に配した植物と一羽の鳥のみで構成されています。

100点を超える作品で、春草のさまざまな魅力が総覧できる展示です。

展覧会のホームページはこちらから
東京国立近代美術館

テーマ:美術館・博物館 展示めぐり。 - ジャンル:学問・文化・芸術

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心が豊かになるアートを見つけに飛び立つ青い鳥です。

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